タイピングが速いのはどんな人?

タイピング

Preferred Networks (PFN) のプログラミング教材「Playgram(プレイグラム)」開発チームです。

この記事は、連載「タイピングを身につけよう!」の第五回です。第三回第四回では、少し寄り道して「プログラムはなぜプログラミング言語で書くのか?」というテーマを掘り下げました。今回は、タイピングが速い人の指使いの特徴である「安定した打鍵姿勢」の重要性についてお話します。

タイピングの壁

文書作成やプログラミングのためにパソコンを活用しようとした時、タイピングの習得は多くの人にとって課題になっていると思います。主に、以下の点が壁になっているのではないでしょうか。

  1. アルファベットやローマ字が分からない
  2. キーの位置が覚えられない

1つ目は、特に就学前や小学生のお子さんにタイピングを覚えてもらう際に問題になります。Playgram では、小学生のお子さんにも本格的なプログラミングを習得してもらうことを目指しているので、これはぜひとも解決する必要があります。

そこで、PFN が提供するタイピング練習教材 Playgram Typing(プレイグラムタイピング)では、アルファベットやローマ字の習得からタイピングの練習を始めるお子さんに向けた機能を用意しています。まず、音声読み上げとふりがな表示機能により、アルファベットが分からないお子さんでもタイピングに取り組むことができます。続いて、チュートリアルの充実した「基礎練習」モードで、ローマ字入力を五十音表に沿って学習できます。

Playgram Typing の「基礎練習」モードでは、五十音表を一段ずつ学習できます

2つ目は、大人でも苦労している方をよく見かけます。一般的に普及しているキーボードの配列が今の形になった経緯については諸説ありますが、少なくとも、日本語ローマ字入力の打ちやすさを考慮したものでないのは確かです。キーの位置が覚えられない人にとっては、まるでバラバラの位置にアルファベットが散らばっているようにしか見えないでしょう。丸暗記するか「体に覚えさせる」しかないのが現状です。

タイピングが速い人は何をしているか

押したいキーの位置が覚えられなければ、キーボードの盤面をにらみながら一文字ずつアルファベットを拾うしかありません。よく「一本指打法」と言われるやり方です。

一本指打法に対して、一般的に理想とされるのは、キーボードの盤面を見ずに指先の感覚だけでキーを探して打つ「タッチタイピング」という方法です。この点について、面白い研究があるのでご紹介しましょう。

第一回で紹介したアールト大学の研究グループは、コンピュータへの文字入力に関する論文をいくつも発表しています。その一つ、「人はどのようにタイプしているか」という論文では、モーションキャプチャや視線追跡カメラを使って、タイピングしている最中の人間の指や視線の動きを研究しています。

この研究で最も興味深いのは、タッチタイピングの訓練を受けた人が、自己流でタイピングを覚えた人より必ずしも速く打てるわけではないということです。つまり、一本指打法でも十分に速い人はいるし、逆にタッチタイピングの訓練をしてもそこまで速くない人もいます[1]論文では、タッチタイピングの訓練を受けたと自己申告した人のうち、指使いを完全に習得していたのは13人中3人だったとされています。。また、キーボードを見ている時間が長くても、一本指打法の人にとっては速さへの影響が少ないという結果が出ています。

つまり、純粋にタイピング速度を上げるという意味では、闇雲に「キーボードを見ないで打つ練習」をしても効果が低い可能性があります。では、何がタイピング速度に影響するのか。研究結果によると、タイピングが速い人は指使いに以下のような特徴があるとされています:

  1. 同じキーは常に同じ指で押す
  2. 手全体を動きを最小限にする
  3. キーを押している最中にも次に押すキーに向けて指を動かす

3番目について少し補足します。これは、例えば「いぬ」とタイプする時に I のキーを押してから、それを完全に離す前に N のキーを押し始めるような指の動きを指します。つまり、一つのキーをどれだけ早押しできるかではなく、文章を打つ時の一連の手と指の動きの全体がタイピング速度に影響することを示唆しています。

安定した打鍵姿勢を身につけるには?

アールト大学の研究で明らかになったタイピングが速い人の指使いの三つの特徴を、この連載では「安定した打鍵姿勢(フォーム)」と呼ぶことにしましょう。このフォームを(できれば効率的に!)身につけるにはどうすれば良いのでしょうか?

次回は、Playgram Typing を使って安定した打鍵姿勢を身につける方法をご紹介します。

Playgram / Playgram Typing とは?

Playgram(プレイグラム)は、Preferred Networks (PFN) が開発するプログラミング教材です。PFN は Playgram を通じて、次世代を担う子どもたちに、実際のアプリ開発に通じる本格的なプログラミング技術にふれ、論理的かつ創造的な思考力や課題解決力を養う機会を提供します。最初は初心者に適したビジュアルプログラミングでプログラミングの基礎を学び、子どもの理解度と意欲に応じて段階的に学習を進め、最後に実際の製品開発にも使われる「Python」を使ったテキストコーディングを習得できます。

Playgram Typing(プレイグラムタイピング)は、プログラミングに必須なタイピング能力を習得できる Playgram の補助教材です。これからタイピングを始める子どもや、アルファベットを勉強中の未就学児でも、タイピングの正しい指使い、正確性、スピードを身につけられるよう設計されています。また、学習履歴から苦手なキーを選択して特に重点的に反復練習できる機能を搭載しており、効率的に練習できます。

Playgram Typing は、ご家庭や教育機関などで無償でご利用いただけます(教育機関でご利用の場合はお問い合わせフォームよりご連絡ください)。

References

1 論文では、タッチタイピングの訓練を受けたと自己申告した人のうち、指使いを完全に習得していたのは13人中3人だったとされています。